マネジメントとは人をコントロールすることではない
2024/01/25
管理者に注意して欲しいこと
企業における管理者は、チームや部署を管理していくために様々なことが求められています。
一般的な管理者に求められる要件は、資質や能力、行動力、振る舞い、メンタリティなど、実に多岐に渡るかと思います。
そして、様々な管理者研修や効率的な人事評価制度の導入などによって、管理者としての在り方が問われる機会も多くなっているのではないでしょうか。
様々なことを求められ、企業からの期待値が高くなりがちな管理職ですが、その役割において特に注意して欲しいことがあります。
それは、管理者はコントロールするものではないということ。
管理者としての苦悩を多く抱える方に共通するのが、このコントロールという概念です。
管理という言葉には、マネジメントするという意味と、コントロールするという意味の両方で使われることがあります。
企業における管理者とは、マネジメントする者であって、コントロールする者になるという意味ではありません。
しかし、管理者がその役割意識やプロフェッショナルとしての意識の高さ故に、マネジメントがコントロールにすり替わることがあります。
それは自分自身のことに対しても、周囲に対しても当てはまります。
「管理者として、自分の感情やモチベーションをコントロールしなければ」
「管理者として、自分の管轄のチーム自体やそのメンバーをコントロールしなければ」
あなただったら、人からコントロールされることをどう感じるでしょう。
例えば、大人になっても親からいちいち「こうしなさい」「ああしなさい」「それはしてはいけません」と口出しされたり、生活や仕事をする上でのルールを勝手に決められてしまったら…。
反発したくなりませんか?
職場によってルールがあることは仕方ないかもしれません。
しかし、その上管理者からもコントロールされることになったら、その下で働くメンバーは窮屈さを感じたり、内心で反発を起こしやすくなるかもしれません。
コントロールしようとする人に対しては信頼も感じにくくなりますので、良好な関係を築くことが難しくなってもおかしくはないですよね。
もしもあなたが管理者であるならば、自分が管轄する部署やチーム、そのメンバーをコントロールしようとしていないか振り返ってみることをおススメ致します。
マネジメントとコントロールの違い
マネジメントとは、メンバーの人格や能力を尊重し、相手が自ら考え動けるようサポートすることです。
基本的にメンバーを尊重するため、細かな方法やペースは相手に任せ、問題や迷いが生じた時に、それを解決するために共に考え、フォローを行います。
その目的は、メンバーの成長を促進することにあるとされていますが、メンバーを通じて管理者である自分もまた成長することを意味しています。
そのため、何かを施してあげているという一方的な関係にはならず、管理者自身もメンバーを通じて成長させてもらう相補的な関係性になります。
その一方、コントロールとは、メンバーを自分の目的や都合によって、思い通りに制御して動かそうとすることです。
管理者自身のペースで物事を進める傾向があるため、メンバーの意志や思いに配慮することがなくなってしまいます。
そうした環境で仕事を行うと、メンバーは管理者の指示がないと仕事を進められなくなり、メンバー自身が自発的に考えて行動することが抑制されてしまいます。
コントロールしようとする場合、メンバーが優秀であれば、コントロールする側の管理者は自分の立場を揺るがされるのではないかと恐怖心も強くなるため、下剋上されないようにコントロールを強めようと悪循環に陥ることがあります。
また、上下関係の意識が強くなるため、管理者が自分の能力とメンバーの能力の優劣比較を行い、管理者自身の自信喪失やメンタル不調を招くケースも多くなります。
コントロールしようとしてしまうことは誰しもありますが、責任感や劣等感が強かったり、こうでなければならないという理想が高い人は特に、マネジメントを心がけていても、知らず知らずのうちにコントロールの方向に傾くことがあります。
管理者として悩んだり、行き詰まりを感じた時には、今の自分がどちらの意味での管理をしようとしていたのかチェックしてみましょう!