寛容になれるコツは、矛盾を受け入れること
2024/03/14
矛盾のない完璧なものはない
世の中は矛盾で溢れています。
その矛盾は個人の中で生まれるものから、世界規模のものまで実に様々です。
例えば、「人を大切にしなさい」と言う人が人の悪口を言ったり、人は信用ならないと疑ってみたりします。
社会貢献や、人々の幸福を高めるという理念を掲げる企業が、そうした理念を顧みず、常に他社と競い合って自社の利益優先に走ったりします。
国際的に「人の命や人権を守ろう」と言いながら、国同士が戦争を起こし、多くの人の命を失わせる選択をします。
矛盾の中には、解消できるものもありますが、多くは解消することが出来ません。
私達はその解消できない矛盾を、あってはならないことであるかのように教わってきました。
そうした教育の弊害が、対人トラブルや生きづらさを生じさせる原因ともなっています。
どうしても正解や答えを求めてしまう。
白か黒かはっきりしないと気が済まない。
一貫性がない、筋が通っていないことをおかしいと思う。
こうした思いは誰の中にもありますよね。
確かに、矛盾が大きいことは非常にもどかしく感じられます。
矛盾がなく、全てに正しい答えがあり、白黒はっきりしていて一貫性があるのなら、それはある意味楽でしょう。
誰もが納得する絶対の正解がはっきりしている世界ならば、迷う必要も議論する必要もなく、ただ矛盾のない答えに従えば良いわけですから。
しかし、矛盾を許さない世界はとても厳しく、機械的で単調な世界でもあります。
そこには、曖昧さをもつグレーな部分もなければ、時と場合によるという柔軟性もありません。
相反する矛盾を許容することが出来なければ、現在の多様性のほとんどは淘汰されてしまうことになります。
私たち人間は、それぞれに価値観があり、大切にしたいものや信じるもの、自分に合うやり方がそれぞれ異なる生き物です。
そして、同じ個人の中でも、それらは時と場合によって変化していきますよね。
そこには絶対的な基準や正解がありません。
だからこそ、矛盾が生まれてしまうのは当然のこととも言えるでしょう。
矛盾を無理に排除しようとすることは、自らの可能性やキャパシティをも狭めることに繋がります。
そうすると、自分や他者の中にある矛盾に寛容になれなくなり、自他を責める気持ちが出てきやすくなるので、要注意ですね。
自分の中の矛盾を闘わせないで
「好きなことだからしたいのに、めんどくさいからしたくない」
「早く仕事を終わらせたいけど、頑張りたくはない」
「痩せたいけど、運動も食事制限もしたくない」
「人と群れるのは嫌、だけど誰もいないと寂しい」
「家族は大切だけど、一緒には居たくない」
私達の中には、矛盾が存在します。
矛盾が生まれること自体は、決して悪いことではありません。
しかし、矛盾があってはいけないと思うと、どちらかの思いを排除しようとして、心の中で思いを闘わせようとします。
そのように矛盾する思いを闘わせるということは、非常にエネルギーのいることです。
また、矛盾をもつ自分が許せず決着をつけようとすることは、「○○である自分はあってはいけない」と自己を否定することにも繋がります。
自己否定を強化しても、矛盾自体はなくなりません。
むしろ否定すればするほど、自己の存在価値が揺らぎ、メンタルは不安定になり、自分を苦しめることになります。
「だったらどうしたらいいの?」と思う時は、今この瞬間の自分はどちらを選びたいかを聞いてあげて下さい。
どちらかが間違っていたり、いけないわけではないので、「どちらの自分もいるよね」と矛盾を受け入れた上で、自分に聞いてみると良いでしょう。
矛盾のない完璧人間になんてなれないのですから、どちらの自分もそのまま受け入れて大丈夫!
そうやって矛盾だらけの自分との向き合い方を学んでいくことで、他人との向き合い方も変わってくるかもしれませんよ。