【脂質4】食品の選択
2021/10/14
年齢とともに脂肪がつきやすくなったり、健康診断の結果も中性脂肪やコレステロール値が高くなってきたりで脂質の摂取を減らしたいと考えている方は多いのではないでしょうか。そうなると「食べたいものを食べられない」「我慢するのはストレス」と思うかもしれませんが、極端な低脂肪の食事に変える必要はないのです。ちょっとした配慮や工夫だけで、あまり変わらない食生活を続けることができます。
今回は、実際にどのような食品の選択が望ましいのかご紹介していきます。
脂質を多く含む食品
脂質は肉類や油脂類以外にも乳製品やナッツ類などにも多く含まれています。
脂質の摂取量を上手に減らそう!
パン
パンはバターを多く使用しているクロワッサンやデニッシュより比較的脂質の少ない食パンやロールパンを選ぶとよいでしょう。食べる際は、バターやマーガリンは避けてジャムを塗ると良いですよ。また、ライ麦パンやフランスパンも比較的脂質量が少ないです。
パン類はマーガリンやショートニングなどの油脂を原材料として使用しています。これらの固形脂は水素添加によって得られ、硬化油と呼ばれます。この硬化油の製造過程において、不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に変化する反応と同時に副反応として、シス型で存在していた不飽和脂肪酸の一部がトランス型の不飽和脂肪酸へ構造が変化することが知られています。
トランス脂肪酸は長期間の過剰摂取により、血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やし、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減少させることが指摘されており、その結果として、動脈硬化などによる虚血性心疾患のリスクを高めるといわれています。
WHO(世界医療機関)とFAO(食糧農業機関)の「食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAOの合同専門家会合」(2003年)では、心臓血管系の健康増進のため、食事からのトランス脂肪酸の摂取を極めて低く抑えるべきであり、最大でも一日あたりの総エネルギー摂取量の1%未満とするように勧告しています。
デニッシュペストリーやドーナツなどの製品では、特にこの硬化油の特徴が必要になります。
揚げ物
揚げ物は脂肪分が多くなりがちですが、脂肪分の少ない食材を選ぶことで脂質の摂取量を減らすことができます。例えば、脂肪分の多いロース肉より脂肪分の少ないヒレ肉やささみを選びましょう。
スパゲティー
スパゲティーはクリームソースやオイルパスタなど生クリームやオリーブオイルをたくさん使うソースよりもトマトソースのほうが脂肪分を減らせます。
ファストフード店
ハンバーガーは具が油で揚げていないものやベーコンが入っていないもの、ソースにマヨネーズを使っていないものを選ぶと脂肪分が少なくなります。
フライドポテトは細切りのものほど揚げる際にじゃが芋が油をたくさん吸収するので脂肪分が多くなります。サイドメニューはフライドポテト、フライドオニオンやパイよりもサラダやスープを選ぶとよいですよ。
ナッツ類
脂質量が多い順
・マカダミアナッツ
・くるみ
・ピスタチオ
・ごま
・アーモンド
・落花生
・カシューナッツ
ナッツ類は脂質を多く含むため、食べる量を決めて、1回の摂取量に気をつけて食べましょう。
ドレッシング
ドレッシングはノンオイルに変更したり、使う量を減らすとよいでしょう。
また、アマニ油のドレッシングがおすすめです。アマニ油はオメガ3系脂肪酸を多く含んでおり、血中の中性脂肪を減らすなど様々な効果があるといわれています。風味も良くてサラダやマリネなどに使用すると美味しいですよ。
飲み物
生クリームやミルクは脂肪分を多く含んでいるため、生クリームやミルクを使っていないレモンティーやブラックコーヒー、ジュースを選びましょう。
デザート
バターや生クリームをたくさん使う洋菓子よりもこれらの使用量の少ない和菓子のほうが脂肪分が低くなります。また、揚げ菓子よりも焼き菓子のほうがよいでしょう。
誰しもが揚げ物やファストフードなどを食べたくなると思います。食べたらいけないわけではなく、食べすぎないように注意することが必要です。食べる頻度もそうです。1日目揚げ物、2日目ファストフード、3日目焼き肉、など脂質の多い食事を連続でとったり、1日のうちに昼はファストフード、夜は揚げ物、みたいに脂質のとりすぎが続くと血中の中性脂肪が増え、肥満に繋がります。
脂っこいものを食べたときや食べ過ぎたときの次の日は、油脂を多く含む食品の摂取を避け、脂質量の少ない食事を心がけてみてください。
また、食物繊維はコレステロールの排出を促進する働きがあります。野菜や海草類、きのこ類に多く含まれており、カロリーが低く、料理のボリュームも増して満足感が得られるため、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください。