医師と管理栄養士が教える生活習慣の誤解~塩分編part2~
2024/08/28
管理栄養士の豆知識
熱中症対策に「スポーツドリンクの摂取」や「塩分の補給」といった注意喚起を聞いたことがある人も多いでしょう。日本人は普段の食事から塩分を摂りすぎているので、熱中症対策といって過度にスポーツ飲料や塩分の補給をする必要はありません。スポーツドリンクの場合500mlで約0.5g、経口補水液の場合500mlで約1.5gの食塩が含まれています。
食塩摂取の推奨量はここから確認してみましょう!(◀クリックできます)
減塩した結果…!
みなさんは、「減塩」という言葉をよく耳にすると
思いますが、実際に減塩してどんな効果があるの?
と疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
今回は実際に減塩に関する研究結果と減塩政策を
行った県の結果を見ていきましょう。
前回の記事で「減塩するメリット」をまとめているので、ぜひそちらもご覧くださいね!
食塩を制限すれば血圧は下がる
結果1
減塩の降圧効果は、多くの研究で証明されていますが、ここではアメリカで行われたDASH-Sodium研究結果を紹介します。
食塩摂取量が1日約9gの食事に比べ、約6gの食事のほうが血圧が低く、約3gの食事ではさらに低いという研究結果が出ています(図1)。
図1.食塩制限の降圧効果(DASH-Sodium研究)
つまり、減塩すると血圧が低下するということです。
減塩の降圧効果には個人差がありますが、
平均すると食塩を1日1g減らすごとにそれぞれの効果があります。※1
高血圧の人 ▶収縮期血圧 約1mmHg 低下
拡張期血圧 約0.5mmHg 低下
正常血圧の人 ▶高血圧の人の約半分低下
また、以下のような方が特に減塩の効果が出やすいと言われています。※1
✓ 夜間高血圧の方(夜間に血圧が高くなる)
✓ 降圧剤を飲んでいる方
※1 国立循環器病研究センター
秋田県の脳血管疾患の罹患率が低下した
結果2
秋田県の減塩への取り組み
平成10年秋田県食生活改善推進協議会が「減塩テープ一人一枚運動」を掲げ、約3,000人の20~30歳台を対象に減塩意識調査を行うと共に、減塩テープでみそ汁の塩分を測定、若い世代への減塩意識の啓発を行った。
平成12年 県内の給食施設の人気メニューを集めた減塩献立カードを作成し、地域での減塩活動に役立ててもらった。
外食をする人が健康を考えた食事ができるように外食産業を巻き込んだ食環境の基盤整備に取り組み始め、平成19年度国体までに500店舗の登録をめざした。
その結果、全国平均とは倍の開きのあった脳血管疾患は、平成に入って大きな差はなくなり、平成 17年には男性3位、女性10位に改善しています。
このように減塩することで
高血圧の予防や脳血管疾患の予防に繋がります。
他にも、長野県の平均寿命が上がった、認知症の危険因子を減らせる、といった減塩政策の結果も出ています。
今日からでもまだ間に合います!
減塩に取り組んで生活習慣病の改善・予防に努めましょう!