【脂質7】深夜の揚げ物が太る根拠を教えます!
2023/02/10
脂肪合成に関わるタンパク質
〜BMAL1〜
BMAL1については【糖質4】で少し取り上げました。
BMAL1の発現量は肥満により増加します。メタボリックシンドローム患者の内蔵脂肪組織でのBMAL1の機能低下が示されています。さらに解析結果から高血圧や2型糖尿病との関連も示されています。これらの結果からBMAL1が、そしてその機能異常が疾病の発症へとつながることが示されています。
以下のグラフはBMAL1遺伝子欠損による脂質異常症の発症について、マウスで実験を行ったものです。
【結果】
■Bmal1ノックアウト(KO)マウスは通常食飼育時においても脂質代謝異常を示し,高脂肪食を食べることで増悪する
■Bmal1 KOマウスの呼吸商は炭水化物をエネルギー源として好んで使用していることがわかり、エネルギー源としての脂質利用が低下している
(呼吸商・・・ある時間において生体内で栄養素が分解されてエネルギーに変換するまでの酸素消費量に対する二酸化炭素排出量の体積比のこと)
■血液中の過剰な脂質は肝臓や骨格筋に流入し,異所性脂肪の蓄積を生じる
(化学と生物 Vol. 50, No. 11, 2012)
この「脂肪を蓄積せよ!」と体内に指令を出すBMAL1は、体内リズムと密接な関係があり、
時間帯によって増減します。昼に少なく、夜に増えるという特性があるのです。
食事時間を意識するようにしましょう。
1日のうちで午後10時~午前2時頃にピークを迎え、午後3時頃にいちばん少なくなります。
午後10時~午前2時頃のBMAL1は、午後3時頃の約20倍にも達するというデータもあります。
「夜遅くに食べると太る」というのは、分子レベルで解明されています。
つまり、22時以降の食事、高カロリーなおつまみと共にする晩酌、ドーナツなどの間食は、15時に全く同じもの食べた時の20倍吸収率に差があるということです。
さらに!交代勤務の方は要注意です!
これは勤務形態と冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞など)による死亡リスクを表したグラフです。
昼間勤務の人に比べ夜間のみ勤務者では、虚血性心疾患による死亡率は上がるものの有意な増加は認められていません。
交代勤務者は昼間勤務者に比べ死亡率は有意に増加しています。
メカニズムは明らかではないが、シフトワークによってサーカディアンリズムが乱れ、ホルモン分泌の異常、あるいは夜間のエネルギー摂取増加のためではないかと推察されています。
血中トリグリセライド値(中性脂肪値)、HDL値、肥満3つの指標のうち2つ以上において高値を示す患者数は男女ともにシフトワーカーにおいて有意に多い事がわかっています。
シフトワーカーの方は、
生活/食習慣を見直しましょう。